Vol. 1 モレミ・ワイルドライフ・ロッジ Molemi Wildlife Lodge
「お部屋の鍵の準備ができましたー」
振り向くとお客様はどなたもいらっしゃらない。また売店かしら。
「いやー、今キリマンジャロの夕焼けきれいやったわー」
なに!私がチェックインしている間ロッジの前庭からキリマンジャロが見えていたんだと?
メルー山4565mが西側にそびえている。キリマンジャロ(5895m)とメルー山が眺められるロッジなんて他にどこにもない。
部屋の鍵をもらうと部屋探しだ。バナナの皮葺きのかわいいコテージが並んでいる。部屋には大きなベッドがどーんと真ん中にあり蚊帳がつってある。標高1000mだから蚊もいないのに蚊帳がつってある。
床が汚い。草の切れ端や藁が散在してる。掃除はちゃんとしてるようだが。ここはアフリカだからしょうがない。
夕食のレストランでお客様たちが騒いでいた。
「このロッジに痴漢がおる。私がシャワーしてたら窓から覗くもんがおった。」
窓は高いところについている。誰がそんな物好きな・・・
犯人はキリンだった。ロッジの庭をキリンが徘徊していた。人が出て行くとすーっと消える。でもみんなが部屋に入ってしまうとキリンが出てくる。「キリンさんを目の前で見るのが子供のときからの夢だったんよー。うれしーうれしー。」
裸を見られた奥様ははしゃいでいた。キリンなんてタンザニアでもケニアでもたくさん見られる。でもキリンと同じ敷地で寝るなんて考えただけでも楽しくなる。
風がさわさわ吹くたびにバナナの皮の切れ端が天井から降ってくる。なるほど、蚊帳は蚊よけではなくて埃よけなのだ。
モレミロッジはジョン・ウェイン主演の映画「ハタリ」に登場するロッジである。その当時の写真がバーに貼ってあるが、メンテナンスが行き届かなくて寂れてしまっている。
ほとんどのサファリ客はンゴロンゴロとセレンゲティを訪れると急いで帰ってしまう。アルーシャ国立公園まで足をのばすお客は少ない。だから我々がこの景色を独占できるのだ。
これはもったいない。このロッジはケニアのムパタサファリに劣らず高級ロッジになる可能性があるのに。スタッフはみんな楽しそうに働いていて朝から草木や花の手入れを怠らない。とてもきれいな花のガーデンがある。
最高、でなくてもいい。そこそこのシェフと有能なマネージャーが来てくれると最高のロッジになる。食事がぜんぜんおいしくないので私がキッチンに入ってソーメンをゆでた。
メルー山を眺めながらウォーキングサファリを楽しめる。バッファロー軍団が遠いところから我々をじっと見ている。コロコロ走っていたイボイノシシがはっと足を止めて我々を見る。こちらが止まるとイノシシが走り出す。我々も歩き出すと彼らがはっと止まる。タンザニア式だダルマサンガコロンダである。
モメラ湖にはフラミンゴもたくさん飛んでくる。草原(サバンナ)のサファリでなく、森のサファリはまた楽しい。
是非もう一度泊まりたい。
私は旅行の仕事をしながらこのロッジを再建できるような人を探しています。
今年の7月にまたタンザニアツアーをやる予定だ。そのときは必ずこのロッジに2泊します。5年ぶりだがどのように変わっているか、楽しみでもありちょっと不安。
2006/01/01記
