教会に向かってステキとは何事ぞ。今分譲中のモデルハウスと同じように見るとはけしからん!と怒られそう怒られそうだ。
ヨーロッパの数々の教会でキリストさんやその仲間達の像を見てきたが木造彫刻においては日本の仏像のほうがずっとレベルが高いと思う。だから海外の添乗を減らして、外国人に日本を紹介するガイド業をしている。
東大寺の南大門。運慶、快慶の仁王像がある。
「どうだ、まいったか。仁王さんの足を見よ。爪を見よ。血管を見よ。これほどの木彫がイタリアにあるか。」
しかしロマネスクの美術となると別である。10~12世紀に流行した教会の建築、装飾、フレスコ画、石彫、どれも素朴であたたかく心がなごむ。
特に教会のフレスコ画におもしろいものが発見できる。絵本に使えそうな可愛い聖人。目が大きくて親近感がわく。棟方志功の描く観音さんと合い通じるものがある。
レオンのサン・イシドロ教会の壁画はロマネスクの傑作だと思った。アストゥリアス地方のオビエドとその郊外に6つのロマネスク教会があり世界遺産に登録された。8~10世紀に建てられた教会である。
サン・ミゲル・デ・リリョ教会。駐車場にバスを止めて雨の中をせっせと坂を上っていくと草むらの中に小さな石の教会がぽつんと建っていた。 おかしい。9時半になってもドアが開かない。中に人がいる気配もない。しょうがない世界遺産だ。 傘をさして教会のまわりをうろうろする。周囲の緑がしっとり濡れて美しい。 通りすがりのおじいさんに声をかけた。「ブエノスディアース!ア・ケ・オラ・エスタ・イグレシア・オブリール?」(何時に教会が開くの)単語並べのスペイン語でも通じたみたい。おじいさんがべらべらしゃべりだしたので、ガイドのマリアンを呼んだ。鍵をもった人が下のもう一軒の教会にいるらしい。マリアン、そいつを捕まえよう。鍵をもらって扉を開けた。1000年以上も前のフレスコがうすく残っていた。世界遺産だというのに誰も来ない。入場料を取る人もいない。石造りの飾り気のない教会。京都の大原三千院の庭にある可愛い石仏を持ってきて祭壇においても似合いそう。 1000年もの間一人でちゃんと草地に建っていた。「私が行ってあげなくて誰が行くの。」母性本能あるいは老婆心をくすぐるような、いとおしい教会だった。 サン・フリアン・デ・ロス・プラドス教会のフレスコ画はもっと鮮明に残っていた。北スペインはロマネスクの宝庫だ。 最初に訪れたのはブルゴスの南東にあるサント・ドミンゴ・デ・シロス修道院。中庭の回廊の石彫がすばらしい。キリストにしても聖人にしてもみな愛嬌がある。「やや、こんちはー。」
と思わず頭を撫でてあげたくなるのは私だけでしょうか。
「そうです。あなただけです。触ったらいかん!」
ブルゴスからパンプローナへの街道沿いの小さな村や町にも教会がいくつもあった。ガイドブックにも紹介されない教会にもふと足を止めると「まぁ可愛いこと」と触りたくなる石の彫刻がたくさんあった。
北スペインは何度でも訪れる人が多い。クリスチャンでなくてもこの地方の教会巡りは飽きることがない。このページのトップへ
Vol. 5 北スペイン 巡礼+αの旅 「ロマネスクの小さな教会がステキ」
6 月 25th, 2006 · No Comments
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